日時2017年12月10日(日)13:00〜16:30
会場 和光小学校


内容 民教連加盟の教育研究団体の仲間とともに考え主張する


   「すべての子どもに楽しい学びを、豊かな学びを生きる力に」をメインテーマにした日本民教連(日本民間教育研究団体連絡会)主催の交流研究集会が毎年12月はじめに行われている。今回も12月の定例研はこの研究会参加で代えることにした。31回目を迎える今年(2017年)の研究集会は12月の第二日曜日に開催され、産教連も日本民教連の加盟団体の一員として参加し、日頃の研究の成果を紹介するとともに、他団体の仲間と意見を交換し合い、交流を深めた。  当日は、午前中の全体会および講演に引き続いて、午後からは6つの分科会に分かれ、それぞれの参加団体から出された実践報告あるいは研究レポートをもとに討議がなされた。ここでは、産教連が参加した第5分科会「豊かな学びをつくるT」の様子を、産教連の発表を中心に紹介したい。  第5分科会には、産教連からの参加者4名を含め、十数名が参加していた。レポートは全生研(全国生活指導研究協議会)・数実研(数学教育実践研究会)・制度研(全国学校事務職員制度研究会)・産教連の各参加団体から1本ずつ出され、関口武氏(全生研)の「教室をぼくらの秘密基地にするために―子どもたちを追いつめるものは何か―」、齋藤マリ氏(数実研)の「子どもはかけ算を使うことで九九を覚えていく」、服部雅美氏(制度研)の「武蔵野市の『小中一貫校』問題と教育カフェ運動のとりくみ―子どもたちの未来のために東京の学校事務職員の私ができることの模索―」、それに産教連からの「新学習指導要領の『見方・考え方』 と『資質・能力』を問う」であった。  産教連のレポートは、本年(2017年)9月24日に行われた生活やものづくりの学びネットワーク主催のシンポジウムで、シンポジストのひとりとして報告した亀山俊平氏のレポートをもとに、藤木勝氏が新たな資料をつけ加えて再構成したものである。 新学習指導要領の「見方・考え方」と「資質・能力」を問う   藤木勝・金子政彦  技術教育・家庭科教育とりわけ中学校の技術・家庭科を取りまく状況に関しては、何年も前からその厳しさについて訴え続けてきているが、一向に改善の兆しが見られない。技術分野あるいは家庭分野の授業時間数が週 1,1,0.5では、指導内容の精選どころか、まともな指導すら難しい。このことは専任教員の減少に直結している。最新の調査データによると、技術・家庭科担当教員の実に約25%が正規の免許状を持たずに授業をしている。こうした現状に対する根本的な解決策は「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」と「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の2つの法律の改定しかない。新学習指導要領が告示されたが、その内容には首を傾げざるを得ない。一例をあげれば、「生活の営みに係る見方・考え方や技術の見方・考え方を働かせ……資質・能力を育成することを目指す」という教科目標は現行のものに比べて大変わかりにくい表記となっている。新学習指導要領にはこれ以外にも苦言を呈したい箇所が複数あるので、ともに検討を進めていきたい。  その後の討議で出された意見のおもだったものをあげておく。「技術・家庭科の授業環境を整えるための条件整備については、提案にもあったように、抜本的には法改正をして専任教員の全校配置を目指すほかはない」、「指導内容は学習指導要領で規定されているが、非常勤講師をはじめとして、専任教員以外の教員が授業を担当している場合、規定の内容の授業ができない現実があることを知らなければならない」、「以前、学習指導要領の法的拘束性が話題になったことがあるが、今回の改訂では学習指導要領の性格が変わったようだ。これまでは指導内容の大枠が示されているだけであったが、今回のものは指導内容が事細かに示されただけでなく、指導方法や評価まで踏み込んで示していることだ。教員の創意と工夫を凝らした授業がやりづらくなるはず」、「今回の学習指導要領の改訂では、学校現場で子どもの教育に直接携わる教職員と中教審委員との間に意識のずれがあるのではないか」、「今回の学習指導要領の改訂で、学力のとらえ方が大きく変化している。そのことを踏まえて検討を進めていくべきだろう」。


 
 


研究会に対する問い合わせ先

野本 勇