日時2012年12月2日(日)10:00〜16:15
会場 :和光小学校
:和光小学校

内容 民教連加盟団体の仲間と交流する

 「すべての子どもに楽しい学びを、学びを生きる力に」をメインテーマにした日本民教連(日本民間教育研究団体連絡会)主催の交流研究集会が12月はじめに行われるということで、12月の定例研はこの研究会に参加することで代えることにした。 26回目を迎える今年(2012年)の研究集会は12月の第一日曜日に開催され、産教連も日本民教連の加盟団体の一員として参加し、日頃の研究の成果を紹介するとともに、他団体の仲間と意見を交換し合い、交流を深めた。

 当日は、午前中の全体会および講演に引き続いて、午後からは6つの分科会に分かれ、それぞれの参加団体から出された実践レポートをもとに討議がなされた。ここでは、産教連が参加した第6分科会「仲間と共に育つ」の様子を、産教連の発表を中心に紹介したい。  第6分科会の参加者は、産教連の参加者3名を含めておよそ十数名で、産教連・学力研・全生研(全国生活指導研究協議会)・性教協の各参加団体から1本ずつの発表レポートがあった。 産教連を代表してレポート発表した根本氏(茨城県)の実践は、校内で実施した研究授業をまとめたもので、報告内容は産教連主催の全国大会や「技術教室」誌(現在は休刊)ですでに発表されている。 この日の報告は、参加者を生徒に見立てての模擬授業形式で行われ、参加者に大変好評であった。  グループ・エンカウンターを取り入れた住居の学習根本裕子 技術・家庭科家庭分野の学習項目として住生活に関する内容があるが、生徒の住生活に対する興味・関心は食生活や衣生活に対してよりも低い。また、住生活については、食生活や衣生活に比べて、授業で学習したことを家庭での生活に活用していくことに困難さが伴う。さらに、現在の住生活のなかから課題を取りあげて考えていくことは、生徒のプライバシーに触れる可能性もあり、むずかしい。そこで、住生活の学習にあたって、このような背景があることを念頭に置き、グループ・エンカウンターやブレーンストーミングなどの手法を授業に取り入れてみた。これにより、教師の説明主体の授業よりも生徒の考える時間が多くとれ、学習に深まりが見られることとなった。 以下に、模擬授業の流れを記す。この日の授業のねらいは、「快適な住まいとはどのようなものか」を考えることにある。配付されたワークシートに「快適な住まいについて考えよう」と参加者が記した後、最初の学習課写真2発表する根本裕子氏題が与えられる。「まず、ウォーミングアップです。一人暮らしの人がアパートを探すときの条件をできるだけ多く書いてください。制限時間は2分です。たとえば、家賃が安い、交通の便がよいなどです」と教師側から指示が出る。各自が書いたアイデアの数を数え、最も多かった人に記載内容を発表してもらう。この日は、10以上あげた参加者もいた。ここで発表されなかった意見を他の参加者に発表してもらう。ここでは、自分の気づかなかった意見に耳を傾けさせることで、アイデアの幅を広げたり質を高めたりすることをねらっている。続いて、この日の授業のメインとなる学習課題が提示される。「家族4人が暮らすための一戸建ての住まいを探すときの条件を考える。父母と中学生の子ども2人(男子と女子)の4人家族とする。その条件として日当たり・安全性・広さ・自然の多さ・利便性・騒音・価格の7つをあらかじめ提示する」この7条件のどれを優先するかをまず個人で考え、次に、自分の考えをグループ内で出し 合い、グループごとに優先順位を決め、その内容を黒板に記入する。黒板に記入された内容について、グループごとにその理由を発表させ、全員でその内容を共有する。 テンポよく授業を進めるため、7条件を記入したカードを事前に準備しておくなどの工夫が必要である。この日の発表でもマグネットつきのカードが用意されていた。「この授業では、自然が豊かな地方に住んでいる、アパートやマンションの多い都会に住んでいるなど、生徒の住まいがどこにあるのかという地域性がよく表れる。そのようなことも踏まえながら、快適な住まいの条件についてまとめていくことになる。この授業では遊びの要素もあり、生徒たちは喜々として授業に取り組んでいた」と、根本氏は補足された。

野本 勇(麻布学園・技術科) isa05nomoto@snow.plala.or.jp
金子 政彦 (大船中学校) mmkaneko@yk.rim.or.jp