ご挨拶(技術教育・家庭科教育に携わる方々へ)


 人類は,直立歩行し,手に道具を持ち,労働により衣食住を生産することで,進化・発展してきました.これは,人類社会の普遍的原理です.その「生産に関する科学」を扱う教科が技術・家庭科です.産業教育研究連盟は教師たちの自主的教育研究団体として,全国研究大会やサークルなどの活動を通じて,技術教育・家庭科教育の研究を進めてきました.また,その成果を雑誌や書籍にまとめ,普及してきました.
 近年,生産的な営みは家庭・地域,いや日本からも消え,私たちの周りは消費中心の生活へと変わっています.グローバル経済と並行してカネだけが動く金融経済も大きくなっています.海外に生産拠点を移す企業が増えれば,なおさら,ものを作る実体の教育が重要になってきます.大切なことは,利益追求に沿った教育ではなく,社会の変化を正しく読取り,人間形成に必要なカリキュラムを考える賢さです.ゆえに,人類にとって不可欠な生産やものを作ることを学ぶ,技術・家庭科の教科としての価値は,ますます重要です.
 本研究連盟委員長として,産教連のこれまでの活動と成果を大切にしたいと思います.会員をはじめ,たくさんの方のご協力をお願いします.

産業教育研究連盟      
委員長 鈴木賢治 (新潟大学)